2010年5月16日日曜日

【モチベーション】やる気の出る秘訣

 そもそも、「モチベーション」という言葉は心理学用語ですが、日本で広く一般化したのは90年代末頃です。1998年に開催された『FIFAワールドカップ』フランス大会に日本が初出場、サッカーの人気が出始めたときに、マスコミによって頻繁に使用したのが始まりです。以来、日本ではスポーツの分野だけでなくビジネスの分野でも頻繁に使用されています。

 モチベーション(motivation)は、動機づけと訳されています。一般的には「やる気」「意欲」「士気」などの意味で曖昧に使われていることの多い言葉ですが、動機づけの意味は、モチベーションを理解する上でも、高める上でも重要です。

 たとえば、ある人が仕事に対して「一生懸命働きたい」あるいは「目標を達成したい」と意欲を持っているとします。その場合、理由もなく一生懸命に目標達成に努力している意欲の源になっている理由がなにかあるはずだと考えられます。

 確かに意欲的に行動をしている人には、「みんなに認められたいから」とか「もっと進歩したい」とか、「お金がもらえるから」とか個人的な理由が発見出来ます。動機が先にあるから、意欲が後からわいてくるという考え方です。

 それなら意欲的になっていない人でも、意欲的になる動機を与えてあげたら、意欲的に行動するはずだという発想に端を発しているのが「動機づけ」です。個人的にはガンガンやるような動機はないけれど、一生懸命に働いたり、学びたくなる原因となる動機を作ってあげると、意欲を高めることもできるので、望む結果も実現しやすくなるという考え方です。

 目標に向かって、どうなるのか見えないけれどとりあえず努力するやり方は効果的ではありません。物事には成功の鉄則があって、目標から「逆算」して、だからいまこうするという考え方は目標を達成する上で、とっても重要で、意欲のみならず、あらゆる面で必要かつ有効です。目標を達成するために必要な準備は全部やった上で行動する方法です。動機をつくるというのも要素のひとつとして欠かせません。つまり「仕掛け」です。

 モチベーションに似た意味の言葉に「インセンティブ」があります。広く浸透している「インセンティブ」は、「意欲刺激」とも言われています。
「モチベーション」が意欲を「本来の自分」にアクセスして心の内面から高めるのに対し、「インセンティブ」は,報酬などを期待させて意欲を「役割性格の自分」にアクセスして外側から高める働きをします。インセンティブは「報奨金」「奨励金」などの名目で使われるのが一般的です。



 インセンティブが役割の自分に働きかけるのに対して、モチベーションは本当の自分に働きかけます。本当の自分とは、人間の身体でいうなら神経のような役割をしています。その周囲にある「役割の自分」とは仕事などの役割で、後から作られていく性格をもった自分で、身体に置き換えると骨といえます。

 神経がやられたら身体がダメになってしまうように、本当の自分が機能しないと自己実現はできなくなります。モチベーションを引き出すことは、本当の自分を檜舞台に出してやるようにするといえます。モチベーションのことを、やる気を出させて、人を巧みに使う意味にとっている方もいるかも知れませんが、そうではなく「自己実現」で得られる喜びに向かう気持ちです。

 モチベーションを引き出すとは、互いに信頼、尊敬する関係を構築して、引き出される人が自分の行動による力で自分自身への信頼を回復して、自己主張ができる自立心を養い使うことで、自己実現を果たすことです。さらに共同体の役に立つことで、より確かな自信を持てるように勇気づけることです。

 だからインセンティブよりも、モチベーションの方が深く長期に、意欲を引き出すことが可能になります。それにしても「仕掛け」が重要なのです。「仕掛け」で決まります。どんな「仕掛け」が必要かというと感情レベルにまで到達できる仕掛けであることが条件です。感情レベルにまで到達することが不安を忘れさせるからです。考えることと、考えていけないことが逆になっているからやる気が起こらないのです。それを反対にすることがやる気の出る秘訣です。

やる気はIQではなくライフスキルの問題です。

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