2010年8月26日木曜日

マイルストーンを使って楽しく、モチベーションは限界突破

 目標を達成するコツがあります。可能性を実感として引き寄せると、モチベーションは飛躍的に高まり加速する。目標に追いかけられるのではなく、追いかける。

 まず目標を達成する喜びをできるだけ早期に味わうことだ。一ヶ月で達成する場合なら、まず初日に達成するのが必須条件だ。予定では5日分位までを最初の3日間で達成してしまう。そこで安心してしまわず、さらにピッチをあげて10日分を6日程度で達成する。そこで当初の1ヶ月の目標を、引き上げて、これまでのペースを崩さないようにする。「攻撃は最大の防御」の言葉通り、15日、20日と節目、節目で目標を高くしていく。この段階で引き上げても、常に上回っていると、苦にならない。モチベーションが高いから気にならないのだ。

 3日、5日、7日(1週間)、10日、15日(2週目)、21日(3週目)、25日、月末、というように節目、節目に目標を設定しておき、そのどれもを予定を上回るようにすると、常に目標を追いかける状態で進行する。

 この節目から節目までの目標設定が「マイルストーン」です。

 期間が短くしておくと、結果がすぐに出る。もし、1ヶ月の間に節目がないと、まだ時間があるち油断して遅れが生じやすい。すると目標に追いかけられることになる。後手後手に回り、重圧がかかってくる。気分が滅入るので、モチベーションは下がる一方になる。追いついても借金を返した状態にすぎないので、モチベーションはあがらない。安心してまたマイナス状態になりやすい。気分は苦しい。

 「マイルストーン」を形式的に設定しても効果があがるというわけではない。追いかけることができる状態で、進行することが必須だ。つまり「初日」「最初の3日間」がポイントだ。それには準備が効果を発揮する。マイルストーンと準備は一体でないと意味がない。つまり心の問題は心のあり方から始まっているのだ。
 
 準備と言っても1か月分の準備は的が絞りにくいので準備もぼやけてしまう。それと比べると初日1日の準備は簡潔で集中しやすい。結果が出せると3日程度は効果をつないでいける。そこで5~6日分をクリアしておくと、余裕とやる気が生まれる。その余裕、つまり貯金を食いつぶさないように進めていくと、場合によればとんでもない数字になることも腕次第で可能だ。この興奮はマネジャー冥利だ。逆算が威力を発揮する。

 初日は飛行機が離陸するのに似ている。離陸から水平飛行に転じるまでは強いエネルギーが必要だ。そして水平を可能にするには、上昇気流に乗せてこそ水平は保てると心するといい。水平にしたら水平は保てないと考えたほうがいい。

 情熱のないマイルストーンの設定は功を奏さない。表向きのマイルストーンを本音のマイルストーンで書き換えて進んでいく。こんなに楽しいものはない。

 仕事も勉強も、組織も個人も、同じことが言える。朝9時から仕事の予定だとしたら、8時から始めて、1時間の余裕を作るようにする。1日を追いかけることができてモチベーションは1日高いので、気分は軽く快適。毎日続けると世の中が違って見えても決して不思議ではない。

 それも準備の明日なにをどんなふうにいつまでにやるのか?5W1Hでする準備のおかげだ。

2010年8月9日月曜日

ラダー効果の実際

ラダー効果については、先に説明しましたが、ラダー効果の実際について追記します。

 数値目標より上位に位置する抽象的な目標、つまり「なんのために働くのか」は「なんのために生きるのか」という課題と直結している。

 ともすれば「仕事をするのにそこまで問題にする必要があるのか」という疑問を持つ人がいると思います。頭でっかちになりすぎていて、そんなことを考えるくらいなら他にすることがあるだろうと思う方もいる。

 しかし、本当のところ、売ることに苦労していないから、そんな思いがするのであって、最も重要なことを抜きにして売ろうとしているとしか思えないのだ。

 売れない状態に向き合って、放り出すわけにもいかない。なんとしても当初、予定した分を売らないといけない状況にあり、売りたいと思うとき、お客さまを抜きにして考えることはできない。買う、買わないの判断をするのは、お客さまだからだ。

 そこでどうすれば買ってもらえるか考える。「お客さまの満足を高める」ことに向き合うか、あるいは、「だまして売れ」に走るかは、モラル、生き様の問題であり、「なんのために働くのか」「なんのために生きるのか」によるところが大である。

 「お客さま第一主義」と言葉を使うのか簡単だが、どうすれば売れるのかをやっていたら、きれいごとではない、本気の「お客さま第一主義」に必ずなるものである。それでも本気にならないというのなら、根本から間違っているとしか言いようがない。

 技術的に言うなら、ストレッチターゲットのレベルにある目標があり、達成至上命令を出し、プロセスに誤りがないか管理することだ。そうすれば、本物の「お客さま第一主義」に矛先を向けざるを得なくなる。

 さて、問題はここから起こる。「お客さま第一主義」をやり遂げるとは、「お客さまは神様」の世界を実践することになる。それは自らを蔑む意味ではない。しかしそれが理解できて主体的に取り組んでいく人は少ない。やればやるほど「なぜそこまでするのか」「やってられない」と不満が浮上することになる。

 あるいは、その様を観ていて、「なんという奴らだ。これはおもしろい。ひとつ加わってみょう」と主体的に参加してくれるものも、少ないがいるがそれは稀であってほとんどは不満を持つ。本当の「お客さま第一主義」はここから始まるといって過言ではない。

 管理者として、この不満を吸い上げて、沈静化して、さらに意欲に発展させていくとき、「話し合い」なしにはできない。そのときの柱になるのが、「なんのために働くのか」であり、「なんのために生きるのか」という課題である。これなしに進むことはできない。

 考えてみるとすぐに分かることだ。「金のために働いている」「生きているから生きているだけ」「遊びたいから生きている」という連中に「お客さま第一主義」をやり遂げる理由もなく、彼らにとっては狂気の沙汰としか映らない。それほど「お客さま第一主義」は大変である。大変だからほとんどが体裁を繕っただけのきれいごとで終わり、実践しない。つまり本気にならないのだ。だから本気で実践したものが勝てるのだ。

 ここでの価値観への共感が、不満を持っていた部下が成長する動機づけになる。
「お客さま第一主義」をやり遂げたいと思う同志が増えていくことで「お客さま第一主義」は可能性の扉が開く。そして仲間と踏み込むことで「苦難」のプロセスが始まる。その苦難を苦難と思わずやり遂げる支えになるのが、数値目標より上位に位置する抽象的な目標、つまり「なんのために働くのか」さらに「なんのために生きるのか」という使命感である。

 誰に言われたわけではない。でもそれをやるのが自分の使命なのだと言えるものを持ったとき、人は強い。強い人が集まった組織は強い。お客さまの心を動かすエネルギーはこの使命感から生まれる。

 数値目標より上位に位置する抽象的な目標がいかに重要かを知っている人は、実践のなかで、それによって救われたことを体験した人である。体験していない人が、その重要を知らないままでいる。抽象的な目標も「お客さま第一主義」も理屈ではない。困難に直面したとき、本気で克服しようとするとき、神の手のように機能する。

2010年8月3日火曜日

サンクス&スポットライト効果で達成感を倍増する

■サンクス効果


貢献度を評価して意欲を引き出すのが、サンクス効果です。結果だけを評価するの
ではなく、結果に到達したプロセスの「どの部分」が、結果に「どのように」反映したか、因果関係を分析して、正しく評価することで、自己効力感を育むようにします。因果関係を理解して、プロセスの「どの部分がどのように」貢献したのかを知ると、良い行動をさらに続けたくなります。必然で良い結果が出ます。


■スポットライト効果


スポットライト効果はサンクス効果に似ていますが、サンクス効果が「仕事の内容」そのものを具体的に評価するのに対して、スポットライト効果はその名の通り、「本人」にスポットライトをあてて、称賛する行動です。たとえば「今月の最優秀メンバー」というように、名前と写真を貼り出すというのもそのひとつです。いろんなアイディアで盛り上げることは可能なので、わくわくする様な企画で、他の参加者が「あんなふうになりたいな」と思うようにすることで効果を拡大したいものです。それにしても、サンクス効果あってのスポットライト効果であることを忘れないようにしたいものです。


■自己効力感


 サンクス、スポットライト効果は、ともに自己効力感にプラスの影響があります。自己効力感とは、カナダの心理学者アルバート・バンデューラが提唱した心理学用語で、目標に到達する能力に対する自分の感覚を表現したものです。

「自己遂行可能感」・・・つまり自分の目標達成能力についての有能感を表しています。

 これに似たものに自己肯定感があります。自己肯定感は自尊心のことで、セルフエスティーム(self-esteem)です。こちらは自分自身の価値に対する感覚を表現しています

 人がある行動を起こそうとする時、自分がどの程度うまく行動出来そうか、その程度の予測によって、その後の行動が予想に適応した形で起こります。そのときに働く力が「自己効力感」です。

 ある課題と向かい合った場合、自己効力感の高い人は、「自分にはここまでできる」と予測することで、「よし、やってみよう」とモチベーションが高まり、その後の行動に発展的につながり、その連鎖によって自己効力感が維持あるいは高まりが続きます。その点からもプロセスの効果的な行動を評価するサンクス効果は自己効力感にプラスの作用を発揮します。


 一方、自己効力感の低い人は「その課題は自分にはできない可能性が高い」と予測するために尻込みする傾向にあり、課題と行動の間に断絶が起こり、その後の行動にはつながらなくなります。消え入るようだったモチベーションがさらに下がり成果も出ません。


 つまり人がポジティブな行動を起こすには、自己効力感を通り抜けなくては始まらないと言えます。この傾向を日常的に、楽観的、悲観的と呼んでいますが、楽観とは、物事について気にしない性格を言うのでなく、むしろ逆で、細心の注意によって必要なことを正しく計画、準備して、合理的な行動を重ねて行くという確かな裏付けに支えられた態度と言えます。

 自己効力感は、主に次の4つの源泉によって形成されるといわれています。


1.達成体験

自分自身の行動によって、達成した体験のことです。自己効力感を定着させるうえで、最も効果的といわれています。先に説明したオプション効果が寄与します。


2.代理経験

 他者が達成するプロセスを観察して、想像をかきたて「自分にもできそうだ」と予測すること。自分自身が直接、体験できる範囲は限られていますが、代理経験を使うことで仮想体験が可能になります。代理経験で得られる自己効力感の影響は大きいと考えられています。プロセスを評価したサンクス効果が他者によい影響を与えます。


3.言語的説得

 達成の可能性を、言語で繰り返し説得すること。しかし、言語的説得のみによる自己効力感は、容易に消失しやすいといわれています。言語的説得はきっかけでしかないと割り切って、早期に達成体験によって自己効力感を定着させるのが効果的です。マネジヤーの手腕が問われるテーマです。


4.生理的情緒的高揚 (エモーショナル効果)

 苦手だと感じていた場面で、動揺することなく落ち着いていたり、身体的な変化が起こらずにすることで、自己効力感が強められることを言います。つまり緊張から自然に生じるストレスの洪水に流されないように感情の流れを整え、洪水を清流に変えます。


 以上から言えることは、自己効力感は、小さな成功体験を繰り返して、蓄積することで高める一方、目標とするモデルを心理的に身近なところに見つけて成功を発見することで仮想体験的に、自己効力感を育てていくことができます。たとえばチームワークに潜在するポジティブな因果関係と物理的な因果関係を組み合わせて使うと相乗効果を発揮します。

自分自身にできるのは概ねここまでですが、代理経験を通じて、さらに自分の自己効力感を高めることができます。この能力がリーダーシップに発展していきます。
同僚、後輩、部下など周囲の誰かの自己効力感を高めたいと思い、言語的説得を根気よく続けることによって相手だけでなく、自分の自己効力感が高まります。さらに相手がチャレンジする代理経験を通じて、自分のスキルが高まると言うわけです。


 自己効力感が高まると、自分から課題に取り組む意欲がみられるようになります。学習への意欲が高まるようになり、自律的な行動の変化が起こるようになります。すると慣れたこと、得意なことに飽き足らず、新たな業務、異なる分野など、いままでと違った行動が求められる時に意欲的になります。


 自己効力感の増大に伴って、内発的な興味も育っていくようになります。新しいことに前向きに挑戦していくためには、スキルの根本に自己効力感の存在が必要だといえます。ライフスキルは自分と周囲の人との関係を自律的、発展的にコミュニケーションする力です。


ここまで説明してきた、目標の価値を高めてモチベーションを高める4つの効果、すなわち、ラダー効果、オプション効果、サンクス効果、スポットライト効果は、いずれも目標を魅力的にするだけでなく、自己効力感を高める働きをします。

つまり目標で惹きつけてモチベーションを高めて成功させ、その結果自己効力感がアップするという循環が人を育てる仕組みとして不可欠なのです。

併せて、達成の難易度のバランスをとり最適の可能性を作り出すメカニズムを機能させること、同時に顧客の購買モチベーションをアップすると、より速く確かに人が育つ仕組みを作ることができます。