2015年10月7日水曜日

ファシリテーターが生涯顧客を作る




<在り方>の話をするとき、とても分かりやすい事例があります。

亡きスティーブ・ジョブズが率いてきたAppleがそうです。Appleの<在り方>はスティーブ・ジョブズ抜きにして語れません。パソコン業界黎明期スティーブ・ジョブズはマイクロソフトの在り方に激怒していました。彼にとって極めてセンスの悪い、在り方として許せない商品を次々に送り出していたからです。

スティーブ・ジョブズは頑なにこだわり、創業者でありながら会社を追放されるという事態に陥りました。スターバックスのCEOハワード・シュルツも同じ体験をしています。

しかしその後の業績低迷で、両者ともカムバックを熱望されV字回復を果たし世界に名だたる優良企業にしています。共通した特長は在り方へのこだわりと価値観を結集した商品作り、サービス提供を実現したことです。

両社とも膨大な熱烈なファンを獲得していて、高くても広告しなくても他では絶対に買わない人がいます。その姿から「依存症ビジネス」と呼ばれるほどです。そこには体験から得た信用を超えた信頼が息づいています。

信用とは言葉や行動を目安、拠り所にしていますが、信頼は存在、在り方を拠り所にしていて、センスの強い共感が働いています。だから高くても広告しなくてもファンは買うのです。これこそ生涯顧客(ロイヤルカスタマー)になり得る根拠なのです。




では、センス、教えようのないものを、どのようにして全世界に浸透したのでしょう。それが絶え間なく機能しているファシリテーション(Facilitation)ファシリテーター(Facilitator)の貢献なのです。

つまり教える、吹き込む、指示するのではなく、参加者全員が自ら主体性を持って自分たちで考えた末に在り方を共有したからに他なりません。なにより驚くべきは従業員全員が参加者になったことであり、その果てに自分の職場に強い誇りを持ったことです。その姿はファンと背中合わせであり、互いに強い共感で結ばれていることです。

Appleが証明しているように、どんなにツールが進化し、世界が変わっても、人が関わっている仕事には、商品やサービスを作り出す知識・技術があり、知識・技術を生み出す社会や人間と関わる考え方や価値観があり、考え方や価値観が作り出す在り方・存在があります。それらは最終的に成果の違いになって表れます。

「成果の違い」の正体は、成果を生み出す仕事に参加している人々全員が自ら主体性を持って自分たちで考えた末に在り方をどれだけ、どのように共有したかにかかっているのです。

ですから主体性を持つことのない人がどれだけ集まっても、どのように会議しても、どんなに研修しても、自己満足に終始します。つまりお客様を始めとするステークホルダーと共感・共有できないので、ビジネスの発展はないのです。

それは病院の仕事の仕方で表現することもできます。
患者がいる。どんな医療行為をするか。を決める。
しかし、もしAppleやスターバックスのやり方なら、そのようには考えないでしょう。
まず患者をどのような存在として捉えるか、どのような立場で関係を持つかということが先で、その先に医療行為があります。
この手順はすべての仕事に通じます。

ビシネスの最強・最高の状態は、生涯顧客を最大にすることにあり、全員が主体的に一回のお客様を生涯顧客にできる仕事を実践していることに誇りを持っていることです。



たとえば「働きがいのある会社」という基準は、その分かりやすい基準のひとつなのです。


0 件のコメント:

コメントを投稿